1. 集中力の維持

日々の仕事をこなす上で、マインドフルネスな瞑想は集中力を高めたり注意力を維持するのに大変効果があると、近年多くの研究結果から明らかにされています。16週間かけて行われたある研究によると、一日に僅か10分の瞑想時間でも、瞑想を全く行わなかった被験者と比較すると実行機能能力がはるかに高かったという結果が得られました。
瞑想によって精神が強くなると、それに伴って知性のパワーも増大していきます。「集中」のトレーニングは意志力と記憶力を増進させ、聡明な知性がもたらされます。

2. 鬱や不安に打ち勝つ

2014年、ドクターマダブ・ゴヤルとその両親がジョンホプキンス大学にて行ったメタ分析の研究結果によると、鬱病に対してマインドフルネス瞑想は抗うつ剤と同等の効果があるということが明らかにされています。この研究結果から、マインドフルネス瞑想によって不安が抑制され気分が上昇するなど、認知的統制機能が高まることが証明されました。

実際に瞑想が深まっていくと、心が冷静になって満足感が増していきます。やがて感情と思考と行動が一つになったと感じるようになったら、徐々に自分自身と距離をおいて自分を他人のように観察するようになります。感情にとらわれずに自分自身を観察することで、感情や思考、行動にひきづられなくなっていくのです。このようにして、執着心や好き嫌いといった「エゴ」が引き起こしていた不安や動揺がやがて消えていき、穏やかで安定した人格へと自然に変わっていけるのです。

3. ストレスの軽減

ある調査では、瞑想はストレスや不安を軽減させる働きがあることが証明されています。瞑想は心拍の速度と酸素の消費量を減らすことによって、身体だけでなく神経系にも強壮剤として作用します。ストレスが徐々に軽減され、身体の各部分が細胞レベルまで若返り、リラックスしていきます。

4. 痛みの緩和

瞑想を行うことで痛みが緩和されるということが、最近ようやく日本でも認識されつつあります。瞑想効果で脳内に変化が起こり、痛みを感じにくくなるのだそうです。
眼窩前頭皮質 (がんかぜんとうひしつ/Orbitorfontal cortex)と前帯状皮質(Anterior cingulate cortex)が活性化されることで痛みが緩和されるのです。線維筋痛症や慢性疼痛には瞑想が効果的であることはメディアでも取り上げられています。心療内科の臨床現場の話によると、重い慢性疼痛の患者は幼い頃に両親の不仲やいじめなど、辛い体験をされている人が多く、そういった人には一般的な認知行動療法では効果が出にくいことがあるのだそうです。こうしたことから、医療現場でもマインドフルネスをベースとした手法が「痛み緩和」目的で導入され始めています。

ここで一つ興味深い記事をご紹介しましょう。Megan Kellyという女性の、マインドフルネス瞑想を取り入れたペインレス・バースストーリー(痛みの少ない出産体験)です。
お産は痛いもの、という思い込みを取り除くところから彼女の出産に向けての準備は始まりました。「お産は心地よいもの」と、ただ思うだけでは十分ではなく、何度もそのことばを反芻し、ビジュアライズ(視覚化)し、体感を味わい、行動で感じる。それを妊娠中の9ヶ月以上しっかりと行ったそうです。
ところがいざお産が始まった時に、胎児が逆子の状態であることがわかり、自宅出産の予定だったにもかかわらず病院へ搬送されるというイレギュラーに見舞われました。 (*注) あわや帝王切開となるぎりぎりのところで、ケリーは思いを果たし、無事我が子を自然分娩にて出産できたのです。ケリーはただひたすら心を落ち着けて、静かに呼吸を繰り返し、最高の結果だけをイメージして、ヴィジュアライゼーションをし続けたのだと言います。
病院に搬送された時点で大変危険な状態であるとみなされ、急遽オペ室に移動させられたケリー。その時には10名以上の医師達が次々と駆け込んできたそうですから、いかに危険な状態だったかが伺われます。ところが、自分を信じ、お腹の子供を信じて最後の最後に自力で息んだところ、するりと赤ちゃんが自然分娩で生まれてこれたのです。ケリーは最後まで、特に苦しい思いも強い痛みも感じなかったと言います。そこに居合わせた医師たちは皆、このような出産は見たことがない!と驚きを隠せなかったようです。
(注: コロラド州では逆子の場合、助産師立ちあいの自宅分娩は法的に認められておらず、病院での分娩が義務付けられている)

ケリーは言います。「お産は痛いもの」というプログラミングを、「快適で幸せなお産ができる」と書き換えるには、顕在意識にとどまらず、潜在意識の中にあるものまで完全に変える必要があるのです、と。この「お産は痛いもの」といったような思い込みをサンスクリットではサムスカーラと言い、「過去において意識に刻みこまれた印象」という意味があります。サムスカーラを変えていくには潜在意識に働きかける必要がありますが、それこそがインド古来の知恵、瞑想が果たす大きな役割と言えましょう。

https://www.google.co.jp/amp/s/amp.mindbodygreen.com/articles/i-used-mindfulness-to-have-a-painless-labor-heres-my-birth-story

5. 知力の上昇

知能には「結晶性知能 」(既に獲得している情報やスキルなど、脳に蓄えられた知識を活用する能力)と、「流動的知能」(今まで経験したことの無い状況下におけるパターン認識、未知の問題を解決し、論理的に思考する能力のこと)があります。前者は読書や暗記といった努力をすることで上げていくことができますが、後者の未体験のことに取り組む能力は学びようがありません。
ところが、近年の諸研究の結果、瞑想がIQ及び流動的知能を著しく上昇させる効果があることが明らかになっています。

ヨガの視点から見ると、人間の心はサムスカーラに捉われ、常に忙しく落ち着きがありません。過去の出来事を再演してみたり、新たにドラマを書き換えて未来のドラマを演じてみたり。そこに感情移入までしてみたり。この内側の会話を落ち着かせることが、内面のコントロールであり、瞑想の大きな役割なのです。
瞑想の目的は、サムスカーラを取り除き、心にポジティブなチャンネルを作り出していくこと。これはとても科学的な方法でありながら、目指す高みは「霊的なゴール」なのです。
規則正しい瞑想は心を浄化し、純粋な動機を生み出していきます。潜在意識は隠されていた「知」を表に出すようになっていきます。より深く物事を理解することができるようになり、「エゴ」は徐々に根絶されていくのです。やがて直感的な力が現れ、人生を叡智へと導いていきます。この直感力こそが ”天から授かった一瞬のひらめき” であり、英語ではインテューイションと呼ばれるものです。

6. アルツハイマー対策

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究によると、ヨガと瞑想を行った被験者と、脳トレチーム(記憶力増強トレーニングを受けた被験者)を比較したところ、その結果

・両チーム共、同等に記憶力が向上
・ヨガ・瞑想チームは鬱や不安を軽減、また対処能力やストレスへの耐久性の向上

が確認されました。

「脳トレvsヨガ・瞑想、認知症予防にきくのはどちら?」英語サイト
出典:https://www.nounow.jp/care/2106/

(日本語訳)
「アルツハイマー病のリスクを減らしたければ、ルモシティ(脳トレ最大手)をやめてヨガマットに向かいなさい」

とあります。私はこの記事を読んで、80歳を越えた両親に、今さらながら瞑想の偉大な効果を説き始めたところです。

http://newsroom.ucla.edu/releases/reduce-risk-alzheimers-skip-lumosity-get-onto-yoga-mat

7. 風邪やインフルエンザを防ぐ

ここでも「知力の向上」と同じことが言えます。
瞑想は脳のコンディションを良くし、免疫力を上げるという実験結果が実際に示されています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12883106
人間の「心」と「体の細胞」の関連性について科学者たちが研究するようになったのは近年のことですが、「精神」が呼吸や循環器の機能を自動的にコントロールしているというヨガ的な論証は古くから伝えられてきました。現在はバイドフィードバック技法によって、ほとんどの身体機能は集中することでコントロールできるということが実証されています。

体の各細胞は本能的な潜在意識によって支配されています。各細胞には「個体意識」と「全体意識」の両方が存在します。思考や欲望が身体に入り込むと、細部が活発になり身体が細胞集団の要求に従うようになります。瞑想中はプラーナ(気/エネルギー)が驚くほどのスピードで各細胞に向かい、細胞を若返らせて治癒力と免疫力を高めていくのです。規則正しく瞑想の練習をしている人は、していない人よりも医者にかかる回数が少ないという結果も立証されています。

シバナンダヨガを欧米に伝えたスワミ・ヴィシュヌ・デェバナンダ師の言葉が全てを語っています。

健康は財産、心の平穏は幸せ、ヨガはその道を示す

Health is wealth, peace of mind is happiness, yoga shows the way

~ Swami Vishnu Devananda